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レース体験記:サハラマラソン挑戦記

挑戦者:マルコ・ニオイ(イタリア・42歳)
レース:第15回サハラマラソン
時期:2000年4月約15日間
順位:682人中84位

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サハラマラソン参加の一番大きな動機は、私の場合、冒険より厳密に言えば、精神の冒険を求めてだった。つまり、さまざまな種類の困難に自ら進んで意識的に身をおく方法を通じてのみ得られる自己認識のことだ。極端な暑さと寒さ、飢えと渇き、眠気、疲労は、心身の融合による"覚醒"のプロセスに言うなれば貢献しているのだ。

もちろん、ひとりひとりが、サハラマラソンのような冒険活動に参加する際に、その人なりの個人的な動機をもっている。たとえば、スポーツが好きだからとか、現代社会の決まりきった生活から脱け出したいとかいうようなことだ。

ここで話題を変えて、サハラマラソン出場のための準備と携帯品について、経験をまじえながら述べ てみたい。私が考えるに、一番大切なのは食料だ。食料こそが、レースを成功のうちに終わらせるための欠くべからざる要因だ。私は日頃の食生活でもっとも慣れ親しんでいるものを選んだ。私にとって、それは自然でオーガ二ックなもの、たとえば玄米 を意味する。サハラに私は真空パックの調理済み玄米、味噌、昆布、ドライフルーツなどを持って行った。

装備品に関しては、まさにサハラマラソンのために作られたともいうべき特別なリュックサックをみつけた。それはMOLETRACK 社製の ENDURE IIだが、残念ながら、今のところアメリカのヴァ−ジニア州でしか手に入らないので、直接注文して買うよりほかない。値段はだいたい120ドルくらいだ。レース用の シューズは数種類、試した結果、ニューバランスALL TERRAIN 802に決めた。これは十分満足の得られる選択だった。この靴はサハラマラソンのようなレースにふさわしく、頑丈で、しかも軽いのだ。

私はこれまでサハラマラソンには、1999年と2000年の2回参加している。第1回 目は悲惨だった。何しろはじめてのことだったので、何を持って行けばいいのか、皆目見当がつかなかった。マメだらけの足をひきずり、疲労の限界に達した体で完走できたことは奇跡のようなものだ。

この苦い経験をバネに私は2000年に再度サハラに挑む決意をし、100位以内を目標 にすえた。私は毎日10〜30kmの練習を中心にトレーニングを進めた。それに加えて、食生活もトレーニングを成功に導くために切っても切れない関係にある。私の食事は玄米、味噌汁、野菜そしてたまに摂る魚介類を基礎にしている。未精製の穀物は少なくとも第2次世界大戦が終わるまで、世界中の人々から価値を認められていた。 体内でゆっくりと燃焼する、持続性のあるエネルギーをうみ出すとともに体を清浄する作用もそなえているからだ。

これからサハラマラソンに参加しようと思っている方々に私がお勧めしたいのは、1日でも早くトレーニングを開始すること、はじめのうちは週2回、1時間ずつ、 レースの2、3ヶ月前には毎日トレーニングを行うことである。また、食べ物の重要性に注意を向けていただきたい。できる限り、自然なものを食べ、とりわけ未精製の穀物(玄米、全粒粉パンなど)を中心に献立を組み立てることである。

最後に、私は世界で最もよく知られ、また神話的な砂漠で、マラソンに参加し、冒険に満ちた1週間を過ごせたことに心から満足している。サハラマラソンのかけがえのない価値は、レースにおけるさまざまな困難を克服することによって、私たちの内部に潜んでいる冒険精神を育んでゆく可能性を参加者に与えてくれることにあると思う。

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サハラマラソン

世界で最も過酷なマラソンと言われるレース。北アフリカのサハラ砂漠で毎年イスラムの断食ラマダンが明けた3−4月に行われる。200数十キロの大砂丘や枯れた川底をいくつかのステージに分けてフリースタイルで走る、または歩く。欧米で盛んな“アドベンチャーレース”の中でも最も長い歴史を誇るレース。国境を越えた人と自然との交わり?自分自身への挑戦?人々を惹き付けるサハラマラソンには毎年数多くのリピーターが集まる。個人またはチームで誰でも参加できる。但しレース中支給されるのは水だけ。衣・食・住に関するすべての物資は自分で調達して、自分で背負って走る。荷物の重さは平均10キロ。日中40度にも達する砂漠の温度は明け方には10度近くまで下がる。平均湿度は20%程度。コースは初出場でも不利にならないように毎年レースごとに変更される。選手は現地で渡されるロードマップをみながらチェックポイントを通過してゴールインする。ちなみに2000年4月9日から15日にかけて行われた第15回サハラマラソンには31ケ国から682名が参加。内570名が235.5kmを完走した。総合優勝はラッセン・アハンサル(モロッコ)28歳、タイム18h03'25”。日本からは29名が参加。


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